「宇李」

耳元で名前を呼ばれるとくすぐったい

「お前は1人じゃない。俺もいる。絶対1人にしねぇ」

張っていた糸が切れたかのように


「ふぅっ…………」

涙が溢れる


怖かったんだ

1人になるとまた誘拐されるんじゃないかと怖くて怖くて

夜になると不安で押し潰されそうだった


「那由くん………私が那由くんのものという証明が欲しいんです」


この不安を取り除いて?


必死にすがると

「どうして欲しい訳?」

「え?」

抱きしめていた力を緩め私と距離を離し真っ直ぐ見つめられる


「どうすればお前の不安を取り除ける?どうすればお前が俺のものだって証明になる?」


「……………抱いて下さい」

那由くんはハァとため息をついた


「俺はお前が大切だ」


そんなこと言われなくても那由くんが私に凄く親切にしてくれてるのはわかってる


だけどやっぱり不安なんだ