恋花よ、咲け。





「…シャツ 取ってきたら?
本当に風邪引いちゃ ダメだから。」


2人しかいない 長い廊下に
私の声が響き渡る。


もしかしたら この大きな鼓動も
響き渡るかもしれない。


2人しかいないのだから
他の音は 何も聞こえない。


ただ1つ
2人を包むのは 雨の音だけ。


「…いや、拭いたからイイよ。
後で取りに行くから 今はまだ行かない。」


弘也が子供のように言う。


「そんな、風邪引くからだめです!
ほら、取りに行くよ!」


そう言って階段の方を指さす。


「え、一緒に行ってくれんの?」


「へっ!?」


弘也が髪を拭く手をとめて
じーっと見つめてくる。


私はもう その熱い視線に
蕩けてしまいそうで ばっと体の向きを替えた。