「はぁ、はぁ、はぁ−−…。」
上がりきった息を整えて
非常階段の厚く重い扉を開いた。
右手には厚手のタオル
左手には 温かなコーヒーを握りしめて。
______ギ---。
開かれた扉に ビクリと体を反応させ
そっと振り返った瞳が
ばちっと私の瞳と交わる。
「……弘也、風邪引く。」
本当に雨に濡れてる弘也に
少し驚きながら タオルを差し出す。
「……高木 何で?」
タオルをなかなか受け取らない弘也を
とりあえず雨に当たらない場所へ
連れて行きたくて
タオルを弘也の頭にかけ
腕を引っ張り 校舎の中に連れ込んだ。
「……風邪引くから、ちゃんと拭かなきゃ!
それと、コーヒー。
温かいのなんだけど…。」
弘也の腕に触れたことが
急に恥ずかしくなって
俯きながら コーヒーを差し出した。
「夏なのに、ホットなんか売ってたんだ!」
そんな私を余所に 楽しそうに笑う弘也。


