恋花よ、咲け。





「おい、やめろよ。
一応ココは図書室だ。」


そう言って いつも冷静な一言を発するのが
加川 隼揮(かがわ じゅんき)だ。


「お前からも何とか言えよ。
こいつ 何があったか話さねぇんだよ。」


南が隼揮に声をかけるが
隼揮は軽く流したあと 俺を見た。


「いいか弘也。
お前は誰にも何も話さない。
だからいつも 傷付くんだ。
少しは 頼れよ。」


俺がビクリと反応したのは 言うまでもない。


"傷付くんだ"?


違うだろ。 俺は傷付けるんだ。


「やめろ、変な慰めや同情ならいらない。
俺がいつ傷付いたんだ?
いつも傷付けるのは俺の方だ。
お前に何が分かる______」


「分かるさ。 特にお前はな。」


弘也の続きを 隼揮の言葉が遮る。


「……ぁ゙?」


弘也が持っていたシャープをコロッと
指から滑らせると
ギロリと隼揮を睨み付けた。