恋花よ、咲け。





「…ぅん。それじゃ、行くね。

本当に大丈夫?」


「あぁ、大丈夫だから 早く行きなよ。
時間になったら ちゃんと自分で帰るから。」


…そっか。 なら、大丈夫だよね。


「了解!

少しでも時間ずれたら
今晩ココで泊まらないとだから 気を付けて。

それとぉ…

男は泣く時泣いて
すぐに切り替えないと カッコ悪いぞ!!」


奈穂はそう言うと、
さっと階段を駆け上がり
ダッシュで体育館に向かった。


東階段を使ったら
体育館には行けないから
中央階段の方へ走って行った。


「…ふっ。」


弘也は 1人で静かに笑って上を見た。


「最後の涙にする。」


そう言って
奈穂の前では流せまいと
堪えていた涙を
右目から一筋溢れさせた。


そして にっと笑った。


「さ、行くか。
4時の電車、間に合うかな…?」


弘也はそう言い残して
そのまま階段を下りた。


_____。

奈穂は、弘也が階段を下りていくのを
しっかりと確認して
ゆっくりと歩き出した。