恋花よ、咲け。





「…新人戦 出られそう?」


「…まぁ、頑張れば。」


健吾がゴミを集め
奈穂が集められたゴミを取った。


「…私 無理そうなの。
先輩 上手だし。」


奈穂の手が止まった。


「…中学ではね、
天才! とか エース!
って 言われてたんだけど…。」


「…そんなに甘くはないだろう?」


健吾が奈穂の前にしゃがみこんで
奈穂の持っていたチリトリと
ミニほうきを取った。


健吾がゴミを取りながら 奈穂を見た。


「…そうやって 誉められてきたから
天狗になってたのかな?」


「じゃないの?
俺も コントロールいいって
言われてきたけど 高校来てからじゃ
お前、それでピッチャー希望?とか
言われてさ…。」


「…そんなもんだよ。

ここは そんなに甘くないところだもんね。」