結局 弘也と咲来がやらされたのは
物置部屋にある 広報活動に使えそうな
紙だったり ペンだったり
たすきの元だったり
そういったものを運ぶ作業だった。
「よし、これが最後だ。
…瑞月だったな、名前。」
力の無さそうなおじちゃんが担当な訳で
こういう仕事をさせられるのも
無理無いかなと思う。
「はい、持っていきますね。
先に解散してて良いんで。
帰りにトイレ行きたいし。
最後の何気重そうだし
ゆっくり行かないと 怪我しちゃいそうだし。
だから、俺の荷物だけ
廊下に出しておいてください。」
一人にさせてほしかった。
「…私、一緒に運びます!」
咲来が言った。
正直言って 面倒くさかった。
断るのも 受け入れるのも。
だから 俺は大丈夫だから。
お前、部活だろ? サボるなよ。って
テキトーに冗談をかましてみた。
咲来は勿論 付いてこなかった。
やっと一人になれたコトに
微かな喜びを感じながら
あの時考えた 酷なことを 思い出してみる。
"…健吾をどう利用しようか。
高木の気持ちを 自分に向けるために
どうすればイイか。"


