恋花よ、咲け。





弘也と咲来は
体育館棟につながる渡り廊下を歩いていた。


「…弘也さぁ
愛しいって思う人 いるのぉ?」


…愛しいか。


思い当たるのは たった一人だ。


俺の直感として なんの間違いもない。


「…何でそんなの 知りたがるの?」


「…んー。 何でだと思う?」


…俺が先に聞いたのに。


とことん面倒な女だなぁ。


咲来が上目遣いで 弘也を見上げる。