「まぁ 高木たちが仲良いからって
別に何かがある訳じゃないからな。」
そう 何となく自分に言い聞かせると
駆け足でグラウンドに戻った。
「健吾 大丈夫か?」
すぐに駆け寄ってきたのは大希だ。
「んだよ、ただ切れて血ィ出ただけだろーが。」
優しくされるのを歯痒く感じた俺は
冷たく突き放した。
「ちぇ 可愛くねーの。」
「うるせぇ馬鹿。」
他愛の無い会話が 妙に苛ついてしまう。
気になるからだな。
最近 確かに高木に元気がないような気がする。
なんというか 考え込んでいる感じだ。
理由はきっと あの噂だな。
弘也に彼女がいるんじゃないかって
すごく不安なのだろう。
でもだからこそ
俺はこのタイミングを逃さない。
弘也に先を越される前に
どうしても気持ちを伝えたかった。
弘也が先に伝えてしまえば
確実に二人は くっついて離れない。
俺が入る隙なんて 無くなってしまうんだ。
「……今しかないんだよ。」
俺の決意は 固かった。


