恋花よ、咲け。





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私たちは
冬休みを迎えようとしていた。


そして ある日を境に
私たちの距離が 大きく動き始めた。


_____。

噂とは怖いものだと思う。


「弘也ー 今日一緒に帰らないー?」


甘く弘也に問うのは飯野 咲来だ。


確か 最近弘也に告白して
見事にフラれたとか。


「はぁー…。」


白い息が 空を舞った。


「何よ奈穂ー。
そんなため息なんかついちゃって。」


マフラーを巻き直しながら潤が言う。


「だって あの噂……。」


"あの噂"に 過剰に反応して
手に取ろうとしていたバッシュケースから
すごい勢いで私に視線をうつす。


「…え 潤どうした?」


「まだんなこと言ってるわけ?
大体ね 噂なんてただの噂!
ホントかどうかなんて分かんないの。」


潤の大きな声を掻き消すほどに
ザワザワと騒がしい教室。


それはやっぱり
弘也がまた 飯野さんの誘いを
断ったから。


「咲来もよくやるよねー。
だって めっちゃ拒絶されてんじゃん?」


「私なら 心折れてるわー。」


無神経な女子が 普通に話す。


内容は あんまりだと思う。