「…佐々木くん。」
弘也も立ち上がり 重そうな荷物を肩にかけた。
「…じゃあ お先に。」
その完全に凍りついた状況から
簡単そうに逃げ出そうとする弘也を
呼び止めたのは俺ではない。
「弘也! ちょっと待って!」
だが弘也は全く聞き入れずに去って行く。
だから俺は言ったんだ、
弘也が去れなくなる言葉を。
「お前らは付き合ってんのか?
…なぁ弘也 二股は良くないぞ。」
「…あぁ?」
案の定 弘也は立ち止まり
俺を強く睨んだ。
だから俺も 強く睨み返した。
だけど 俺の言葉が傷付けたのは
弘也ではなかった。
「…弘也には 好きな人がいるの?」
声は震えている。
まさか舞未は弘也を…?
だが 舞未の瞳からこぼれ落ちた涙が
それを決定付けた。


