帰り道 マウンドでは感じなかった疲れが
どっと押し寄せた。
歩く速度は次第に落ちて
乗るはずの時間の電車には 間に合わなかった。
いつもなら5分で着く駅にも
15分以上を要してしまった。
だから 家の最寄り駅についたのは
いつもよりずっと遅い時間だった。
電車の中では 降りるのが終点だから
乗り過ごす心配なんか無しに
ぐっすりと眠りについた。
そんな 俺の眠気は
家の近くの公園が吹っ飛ばした。
「…弘也?」
公園のベンチに誰かと腰かける
その後ろ姿は 確実に弘也だ。
そしてその隣に座るのは確実に女だ。
まさか…!
俺の声に驚き 振り返る弘也は
どこか余裕の表情だった。
「健吾か。 今日は遅いんだな。」
その言葉と同時に立ち上がり
こちらに軽く会釈した女に
俺は安心したが それはすぐに解かれた。
高木じゃなかったんだ。
だが 高木じゃないまた別の女だったんだ。
「…舞未。」


