「大希 始めよう。」
俺を取り巻く全ては
俺の為の俺の物ではない。
「あいよ。」
だが その期待に応えなければ
影で悔し涙を流したであろう先輩が
報われないだろう。
_____。
「なぁ健吾! っはぁ もう終わろう。」
もう辺りは真っ暗で
体育館から放たれる光と
グラウンドを照らす電灯が
俺らをかろうじて 目に映した。
「今何時だ?」
「時間のコト 考えてなかったのかよ!
もう8時過ぎだ。」
ゆっくりマウンドに近付く影が
少しずつ大希の形を作り出した。
「悪い。 今度は集中力が高まって…。」
肩を回して 「あぁー疲れた。」
と声を漏らした大希に言った。
「お前さ いい加減その波のある集中力
コントロールできるようになれよな。」
「悪い。」
悪いなんて本当は 思っていないがな。
コイツには まだまだ迷惑かけるんだよ。
「じゃあ 帰るか。」
「あぁ。」


