恋花よ、咲け。





_____。

夏服から冬服へ
タオルからマフラーへ
保冷剤からカイロへ
緑の葉から茶色の枯れ葉へ。


全てが規則正しく
秋へ冬へと移り変わろうとしていた。


朝練が終わって 暖かい教室に入ると
まず沢山の女の子に囲まれる。


「おはよー奈穂!
今日も寒かったでしょ?」


まるでお母さんみたいなわっちゃん。


「奈穂ー おはょ。
昨日話してた 数学の問題ね
家でといてきたょー!」


本当に頭がいいりにー。


「すっごく難しかったんだけど
公式と基礎が理解できていたら
簡単に解けちゃう問題だった。」


ノートを見せてもらうと
確かに理解できる 完全なる式が
堂々と立てられていた。


「さすがだね、りにー!」


「うん、ありがと。
そろそろ鳴るから 席戻ろ?」


「あ、うん。」


りにーの呆気な一言で
私たちは一気に解散した。


私の席は後ろの窓際。


んあー、冬にはハズレな席だな。


言葉にならない文句をひとつ。


だけど楽しみもひとつ。


私の対角に座る弘也を見つめる。


(おはよう。)


(おはー。)


口パクかアイコンタクトで交わす
"おはよう"は 何よりも愛しかった。


…その日の決意した帰り道までは。