恋花よ、咲け。





「そんなクサイ言葉 やめろよ。
すんげー照れる。」


弘也が職員室の前で立ち止まり 振り返る。


「…だけど すんげー嬉しい。」


ぱっと広がる幸せな気持ち。


溢れ出す笑顔。


あなたはとてもズルいのね。


涼しい職員室は コーヒーの匂いがする。


「戸川先生 お願いします。」


「おう、今行く。」


戸川先生に声をかけたのは弘也だった。


「あれ、弘也は他に用があったんじゃ…?」


「え? んなこと言ったっけ?」


戸川先生が近付いてくる。


「ぇ…。」