恋花よ、咲け。





「…っっ! な、何を!?」


息がグッとつまり 大きな声が出る。


「何をって 電話かけたれ!
多分出ないけど あの子健気だから
絶対に かけ直してくるよ?」


大峯の言葉に 更にパニクる。


「は、おま、頼んでないし!」


「頼まれてないし。」


「じゃ、何でこんなこと…!」


「言ったでしょ?
私は皆の"好き"を応援したいの。
だから 佐々木の"好き"も
ちゃんと応援するょー?

都合のいい 八方美人だって言われたとしても
私はこの気持ちを 貫き通すよ。」


大峯はすごいな、何か。


自分という自分をちゃんと分かってる。


そしてそれを 尊重してるんだな。


芯が強くて 己が生きてて 人として大人。


「…ありがとう。
大峯は、いい奴なんだな。」


「…え?」


少し暗くなってきた空を見上げる。


大峯の言葉を無視して言う。


「そろそろ帰らなくちゃな。
大峯って バスだよな?」


声には出さず コクリと頷く大峯。


「じゃ 俺今日は電車だから バイバイ。
番号 ありがとう。
早速帰ってから 電話いれてみる。」