「南野、もう頑張らなくていい。必死に自分を守るだけでいいから。前に進もうとか誰かと仲良くしなきゃとかそんなことも考えなくていい。今はお前を一番に考えてくれる人、しっかり受け止めてくれる人を大切にすればいいと思うんだ。」


「でも…」


そんな、今までと話が違うじゃない。


いきなりそんなこと言われたって…


「お前が混乱するのも分かる。でもな、大学生になって知り合いがほとんどいたい中でもう一度頑張った方がいいと思うんだ。環境が変われば、人だって変わる。それに同じ夢に向かって頑張っている人と出会える可能性が高い。そうしたらその共感から仲良くなれるかもしれないだろう？だから今はもう一歩踏み出す勇気を出す練習の期間だと思ってもいいんじゃないか？」


うれしかった。


こんなにも私のことを考えてくれていることが。


きっと本当に一生懸命考えてくれたんだと思う。


西村先生のことだから。


こんなにも私の心の中にす――っと入ってくるのだから。


自然に溶け込んでいく。


一つ一つ言葉を選んでくれているんだって分かるくらいに本当に優しくて。


包み込んでくれるようだった。