ねぇ。

 今でもあなたは何処かを旅していて。

 そのうちひょっこり現れそうな気がするの。

 こうしてあたしが暴れているときに、なにやってるの?って、間抜けな声をかけてきそうな気がするの。


 なのに、もう、そんなことはありえないのね?



 ――――うそつき。



 傍にいると、言ったくせに。



「嘘つき・・・!!!」



 絞り出すような声は、彼を責めるけれど。

 ごめんねといって、頭をなでてくれる大きな手。


 それはもう、どこにもない。





 


 どこにもないのだ。