優しい幸人の声に、アゲハは、無言のままうなづく。


 なんども、何度も。


 彼が起こした偶然の奇跡に、アゲハの心は、救われつつある。

 けれど彼の奇跡は、それだけでは終わらなかった。



「―――アゲハ!」

「?!」



 久しく聞いていなかった、懐かしい声が、向こうから聞こえる。

 顔を上げると、そこには園長と―――・・・そして、悟がいた。




 あの、アメリカで最後に写真を届けた、上田悟である。