アゲハ~約束~

「・・・バカじゃないの・・・?死ぬ直前に・・・こんな・・・」


 
 飛行機の中で携帯使っちゃ駄目だって、言ってたくせに。
 


「そんなこと、無視しちゃうくらい必死で、伝えたかったんだよ。・・・きっと。」



 幸人が、呟く。



「――――・・・幸せにしてやれなくてって・・・アゲハ。・・・お前、幸せだったよな?」



 抱きしめられる腕の温かさを教えてくれた。

 素直になることを教えてくれた。



「・・・うん・・・」



 愛してるって言ってくれた。

 これ以上何を望む?

 幸せに出来なかったなんてこと、ない。


 だって幸せは一杯くれたじゃない。


 優しさも一杯くれたじゃない。




 ――――いまだって、くれたじゃない。