さよならだけは、言えなくて





そして、とうとう大樹が引っ越す日がやってきた。



お母さんと一緒に、家の前で見送る。


隣にいるお母さんは、ハンカチを持ってうっうっと声を漏らしながら泣いている。


――私は、泣きもせず、大樹たちの慌しい様子をただただ見つめているだけ。



「じゃ、行こうか」



大樹のお父さんがそう寂しそうに言い放った。