君だけが好き!

 


「そうじゃなくて……」

「直斗」

聡が優しく私の名前を呼ぶ。

「僕は少し、彼と話すことがある。だから、ここで待っててくれる?」

そう言って、聡は"誰か"を連れて私から離れていった。

……………行かないで。

私は無性にそう思った。

それは、聡に向けて感じた気持ちなのか、聡の隣で歩く"誰か"に対して感じた気持ちなのかは、分からないけれど。

……嫌だなあ、ほんと。

私は聡だけが好きなはずなのに、いつの間にこんな浮気性になってしまったんだろう。

ていうか、聡が見知らぬ"誰か"を連れてどこかに連れて行っちゃったなんてシチュエーション、私の妄想細胞が黙ってないよ!

さあ来い、私の妄想ワールド!

……………あれ。

あんなに聡を使った妄想が好きなのに、何も思い浮かばない。

どうして。