「あ」


「え?」


ぱっと振り向くとそこには因幡くん。



そろそろ冬も始まろうとしていた晩秋


寒さに身を縮ませ登校してきた私はお世辞にもかわいいとはいえない身なりをしていた。



「あ、お、おはよう因幡くん」



ささっと前髪を直し、笑顔をつくる



最近勉強についていけなくて徹夜続きだったからなぁ…ひどい顔してないかな



「ひどい顔してる」


「嘘!?」


「嘘。じゃあ行くね」



スタスタと歩き出す因幡くん



…謎だ。



「あ、篠ノ芽さん」


「へ?」



「体育祭、何出るの?」



た、体育祭?



「この学校、文化祭と体育祭は別にするんだよ。この寒い中」



知らなかった…



「私は長縄くらいかな。あんまり運動得意じゃないし。因幡くんは?」



「くじ引いたらリレーになった。」


「すごい!足早いの?」



「書道部が足早そうにみえる?」



…見るからに細くてひょろっとしている因幡くんはお世辞にも早そうとは思えなかった


「でも、頑張ろうね!」


「…うん」


予鈴が鳴り、私は因幡くんと分かれ五組へ向かう