「あいつ朱日奈のこと好きだよ」



フランクフルトにかぶりついた瞬間そう言われ吹いてしまった



「な、ないない!」



「いや、あれは明らか好き好きオーラ出してたからね」



「ないよ!」



「なんで」



弥生ってクールなのに時々熱くなるよね…



「だって知り合ったばっかだし」



「朱日奈の初恋っていつ?」



「…幼稚園かな」



「それ以来恋は?」



「ないない!ずっと勉強してたから」



はぁ…と重いため息



「え、えーと弥生チャン?」


「朱日奈は恋に関してはお子ちゃまってことか…」



「えぇ!?」



「もし因幡に告白されたらどうするの?」



「ちょ、ちょっと!?」



「雰囲気に流されてオッケーするなんてしないって自信ある?」



「弥生サマ!それくらいでいいです!大丈夫です!おーるらいとです!」



「…」



フランクフルトにかぶりつく



むしゃむしゃと食べる自分は他人には子供に見えるのだろうか…



「あれ?篠ノ芽さんと凉村さん」



「武智。」



「弥生!先生つけなきゃダメだって!」



「はは。いいですよ。それより、これ、貰ってくれませんか?」



そう言って差し出されたのはブドウのゼリー…にしてはかなり巨大だ



「くじ引いたらこんなんが当たってな…1人じゃ食えんけん、家族でわけて食ってくれ!」



そう耳打ちするとサッと私達の横をすり抜け、



「じゃあ見回りがあるのでこれで」



といつもの笑顔で去っていった




あの関西弁二重人格教師…こんなのくれても…



「嬉しくないって…」



ちょ、ちょっとドキッとしたのは、勘違いだよ勘違い!うん!つり橋効果ってやつ?だって相手は先生だし!



「弥生!部活パレードあるって!行こ!」



弥生の手を引き、屋台の間をすり抜ける



心地いい風と、手に持つゼリーの冷たさがより一層夏を感じさせてくれた




耳の奥にあの独特の話し方が残っている



それを振りきるかのように、私は風をうけ、走った