。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。



「……リコさん?」


響輔が布団の中からちょっとだけ顔を覗かせて、目をぱちぱちさせた。


やっぱり泣いてはいなかったみたいだけど、その表情は疲れ切っている。


俺はケータイを響輔に渡すと、


「今日のことや。慌しく帰っちゃってすみません、って……」


響輔がメールの内容を読み上げた。


川上も律儀だよな。


そして響輔も。俺のメールには返信してこないくせに、川上には時間が掛かってもきっちり返しているみたいで、今もすぐにケータイに指を走らせている。


その途中だった。


~♪


またもケータイが鳴り、でも今度の音はなかなか切れることはなく、それが着信を報せる音だと分かった。


「もう、いやや!」


バシッ!


またも響輔はケータイを俺に投げつけ、布団の中に逆戻り。


「何なの!」いやや!は俺の方や!


響輔の投げつけたケータイをまたも拾うと、今度はディスプレイに





“一結”の二文字が―――





―――…は!?


何で響輔が一結の番号を知っている。


鳴り続けるケータイと、布団の中で丸まっている響輔を見比べて、


でもどうするべきか、どうすればいいのか、


考えが浮かばなかった。