「……リコさん?」
響輔が布団の中からちょっとだけ顔を覗かせて、目をぱちぱちさせた。
やっぱり泣いてはいなかったみたいだけど、その表情は疲れ切っている。
俺はケータイを響輔に渡すと、
「今日のことや。慌しく帰っちゃってすみません、って……」
響輔がメールの内容を読み上げた。
川上も律儀だよな。
そして響輔も。俺のメールには返信してこないくせに、川上には時間が掛かってもきっちり返しているみたいで、今もすぐにケータイに指を走らせている。
その途中だった。
~♪
またもケータイが鳴り、でも今度の音はなかなか切れることはなく、それが着信を報せる音だと分かった。
「もう、いやや!」
バシッ!
またも響輔はケータイを俺に投げつけ、布団の中に逆戻り。
「何なの!」いやや!は俺の方や!
響輔の投げつけたケータイをまたも拾うと、今度はディスプレイに
“一結”の二文字が―――
―――…は!?
何で響輔が一結の番号を知っている。
鳴り続けるケータイと、布団の中で丸まっている響輔を見比べて、
でもどうするべきか、どうすればいいのか、
考えが浮かばなかった。



