「はぁ」
響輔は見られていることに気付いていないのか、ちょっとため息を吐いて顔を伏せている。
「あっちも相当だな。お前ら痴話喧嘩でもしたんか?」
痴話喧嘩って……そもそも俺たちそんな仲じゃねぇよ。
てか響輔が何に悩んでるのか知らねぇし。
でもまぁここでは俺たちがデキてるって言う設定になってるから、それに何も返さず笑顔だけを浮かべた。
本当のことを知っている朔羅は、少し心配そうに俺と響輔を見比べ、それでも何も言ってはこなかった。
と、まぁ賑やか(俺たち以外)な食事を終えてその後の後片付けの後慌しく風呂に入り、自分の部屋に帰っていくと、
「……待ってましたよ…」
照明を落とした薄暗い部屋の中央に布団が敷かれていて、その上に体育座りをした響輔が俺を待ち構えていた。
「ぅわ!お前、何でこんなところに居るんだよ!ってか居るなら電気ぐらいつけろや」
ガラにもなく響輔の待ち伏せにビビってしまって、俺は慌てて部屋のスイッチを探った。
パッと灯りがついて、響輔の白い顔が照明に照らし出される。
元々色白の方だけど、今日はいつもにも増して青白い。
「戒さん、今日泊めてください」
響輔は沈んだ声でぽつりと呟くと、俺の返事を聞かずに勝手に布団にもぐりこんだ。
てか俺、布団まだ敷いてなかった筈なのに。響輔が勝手に敷いたみたいだ。
ってか…
「はぁ?お前どーしちゃったの?泊めるも何も、お前の部屋は二階にあんだろうが!」
俺が迷惑そうに顔をしかめて(小声で)怒鳴ると、響輔は
「ちょっと事情がありまして…」と布団の中からくぐもった返事を返してきた。



