。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。



「はぁ」


響輔は見られていることに気付いていないのか、ちょっとため息を吐いて顔を伏せている。


「あっちも相当だな。お前ら痴話喧嘩でもしたんか?」


痴話喧嘩って……そもそも俺たちそんな仲じゃねぇよ。


てか響輔が何に悩んでるのか知らねぇし。


でもまぁここでは俺たちがデキてるって言う設定になってるから、それに何も返さず笑顔だけを浮かべた。


本当のことを知っている朔羅は、少し心配そうに俺と響輔を見比べ、それでも何も言ってはこなかった。


と、まぁ賑やか(俺たち以外)な食事を終えてその後の後片付けの後慌しく風呂に入り、自分の部屋に帰っていくと、


「……待ってましたよ…」


照明を落とした薄暗い部屋の中央に布団が敷かれていて、その上に体育座りをした響輔が俺を待ち構えていた。


「ぅわ!お前、何でこんなところに居るんだよ!ってか居るなら電気ぐらいつけろや」


ガラにもなく響輔の待ち伏せにビビってしまって、俺は慌てて部屋のスイッチを探った。


パッと灯りがついて、響輔の白い顔が照明に照らし出される。


元々色白の方だけど、今日はいつもにも増して青白い。


「戒さん、今日泊めてください」


響輔は沈んだ声でぽつりと呟くと、俺の返事を聞かずに勝手に布団にもぐりこんだ。


てか俺、布団まだ敷いてなかった筈なのに。響輔が勝手に敷いたみたいだ。


ってか…


「はぁ?お前どーしちゃったの?泊めるも何も、お前の部屋は二階にあんだろうが!」


俺が迷惑そうに顔をしかめて(小声で)怒鳴ると、響輔は


「ちょっと事情がありまして…」と布団の中からくぐもった返事を返してきた。