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「こうやって…ホットミルクにハチミツ入れるんだ。そしたらちょっとは飲みやすくなるかも」
あたしは温めた牛乳を入れたマグカップにハチミツを垂らしてスプーンで混ぜた。
「へぇ」
くるくる…円を描いて渦ができた白い液体を見ながら、戒は物珍しそうに目を細める。
「ホットミルクは寝つきを良くするし、寝る前にも飲めばいいんじゃねぇか?」
あたしが言うと
「それ、響ちゃんにも言われた。
でも俺、正直なこと言うと
ホットミルクを飲むより響輔が隣に居てくれたほうがぐっすり眠れる」
戒はマグカップを大事そうに包んで長い睫を伏せる。
戒―――……
「あ!いやっ!変な意味やないよ?
あいつはほら!生まれたときから一緒やったから」
「知ってる」
あたしは戒の隣に腰掛けて頬杖をついた。
「お前にとってキョウスケは、たぶんあたしにとってのマサみてぇなもんだよな」
「マサさんと一緒にされちゃあいつが怒る」
戒は小さく笑い声をあげる。
「それもそうだな」
あたしも笑い返した。
頬杖をといてあたしは戒の腕にそっと手を置くと、戒がちょっとびっくりしたように目を開いた。
「あたしはマサもキョウスケも好きだけど
でも戒はもっと好き。
あたしにとって特別は
お前なんだ。
戒は―――…?
今でもあたしのこと特別だと思ってくれてる?」



