あたしはアルバムを持ったまま戒のお部屋へ走って行った。


そろりと襖を開けて、部屋の中央でやっぱり戒と一緒に寝ているキョウスケ。


あたしは部屋の入り口で小声で


「キョウスケ…キョウスケ!」


眠っているキョウスケに呼びかけた。


キョウスケが目を開けて、目を擦りながら身を起す。


「ちょっといいか?」


あたしが部屋の外を顎でしゃくると、キョウスケは眠っている戒をちょっと気にするように見て、そしてあたしに向かって小さく頷く。


キョウスケが部屋から出てきて、後ろ手にパタンと襖を閉じた。


「どうしたんですか?」


「分かったんだよ!タチバナの正体!」


あたしがアルバムを開くと、さすがのキョウスケも目を開いた。


「正体…?」


「思い出したんだ。あいつ、昔に会ったことあるって。


叔父貴の同級だったんだよ」


ほれ!とあたしは叔父貴の制服姿をキョウスケに見せると


「若っ……会長もこんなときがあったんですね。でも学ラン似合わない…


いや、ある意味合ってるのか?番長って感じで」


とキョウスケはしみじみブツブツ。


「叔父貴の学ラン姿も超似合ってるじぇねぇか!超キマってるじゃねぇか!!」


あたしは叔父貴の写真を指差してキョウスケを睨んだ。


まぁキョウスケの想像通り、番長ってのは当たってるが。


気に食わないヤツをシメまくってたからな、叔父貴は。


昔は尖ってたぜ。しみじみ。


「…って、ちっがーーーう!!


叔父貴の制服姿がどうのこうのって問題じゃねぇよ!




この制服、タチバナも一緒の着てたんだよ!」