。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。



―――


その後はユズさんに無理やり付き合わされて晩酌をしながら(主に川上の)話をしながら、夜は更けていった。


最初は面倒だったけど


この組の中で、誰かと深いことを話すのははじめてのことで―――


そして俺は


こんな風にかまってくるユズさんが





嫌いじゃない。







―――……その晩夢を見た。


カフェのバイトの制服を着た俺と新垣 エリナ。


二人して客のこないカウンターに並んでいる。


背後に本来はある筈の厨房がない。テーブル席も見えない。


ただ白い空間の中、カウンターだけは存在して、俺たちは来るはずのない客を待っている。







「龍崎くん……お願い…




あたしを助けて」






新垣 エリナが俺の袖をちょっと引っ張って、俺をゆっくりと見上げてくる。


その視線はさっきロッカールームで見たあの決意にみなぎった力強い瞳。


「大丈夫や。俺が何とかしたるさかい安心しぃ」


俺は前を向いたまま答えた。


新垣 エリナが安心したように頬を緩める。







「龍崎くんて優しいね」







いつの間にか俺の視線は低くなっていて、新垣 エリナを見上げる形になっていた。


「ありがとうね、龍崎くん」


新垣 エリナが俺の頭をふわりと抱き寄せる。







「ありがとう」