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その後はユズさんに無理やり付き合わされて晩酌をしながら(主に川上の)話をしながら、夜は更けていった。
最初は面倒だったけど
この組の中で、誰かと深いことを話すのははじめてのことで―――
そして俺は
こんな風にかまってくるユズさんが
嫌いじゃない。
―――……その晩夢を見た。
カフェのバイトの制服を着た俺と新垣 エリナ。
二人して客のこないカウンターに並んでいる。
背後に本来はある筈の厨房がない。テーブル席も見えない。
ただ白い空間の中、カウンターだけは存在して、俺たちは来るはずのない客を待っている。
「龍崎くん……お願い…
あたしを助けて」
新垣 エリナが俺の袖をちょっと引っ張って、俺をゆっくりと見上げてくる。
その視線はさっきロッカールームで見たあの決意にみなぎった力強い瞳。
「大丈夫や。俺が何とかしたるさかい安心しぃ」
俺は前を向いたまま答えた。
新垣 エリナが安心したように頬を緩める。
「龍崎くんて優しいね」
いつの間にか俺の視線は低くなっていて、新垣 エリナを見上げる形になっていた。
「ありがとうね、龍崎くん」
新垣 エリナが俺の頭をふわりと抱き寄せる。
「ありがとう」



