◆ 交通事故!? ◆
―――青龍会本部の、長い回廊。
しんと静まりかえった細い廊下。
神社なんかでよく見る御簾(ミス:すだれのこと)がかかった細い柱が何本もあり、赤い房が垂れ下がっていて、どこか神秘的だ。
平坦な壁と廊下がどこまでも続いていて、その先は暗がりになっている。
―――以前、あたしがはじめて、イチもとい、一結と対面した場所。
その場所で、あたしは横たわっている。
夏だと言うのに、ひんやりと冷たい空気が畳みから背中を伝わらせる。
すぐ上を見上げると、叔父貴の真剣な表情があった。
「朔羅―――」
甘く囁かれて、叔父貴の顔が近づいてきた。
あたしは咄嗟に顔を避けると、叔父貴は困ったように吐息を漏らした。
両手を掴まれて、脚の間には叔父貴の片脚が割り込んでいる。
まるで逃さないと、言う気迫が伝わってきそうだった。
実際はどうなのか分からないけど。
顔を逸らすと、叔父貴はあたしの頬に口付けを落としてきた。
ひやりと冷たい口付けだった―――
その感触に、背中をぞくりと何かが撫でていき、あたしは目をまばたいた。
「あの……あのさ!叔父貴…」
思い切って声を掛けると、
「ん?」
脳内までとろけそうな低くて甘いヴォイスで聞かれると、
もう、どーでもいい気になっちゃうけど…
この状況は、マズイだろ!!?