。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。




「お待たせいたしました。アイスミルクティーのお客様…」新垣 エリナがグラスをテーブルに置きながら言いかけて、


「あ!新垣 エリナ!?」とキモ金髪が声を上げた。言って慌てて「マドンナ新垣さん」と言いなおしたが。


新垣 エリナはびっくりしたように固まって、そのグラスを持つ手が僅かにブレた。


それをうまくキャッチしたのはキョウスケ。


「大丈夫ですか」


と相変わらず無表情に答えるキョウスケ。


「あ、はい!すみません」新垣 エリナは慌ててグラスを持ち替えてテーブルに置いた。


「姐さん…じゃなくて、朔羅ちゃんとバイトしてたんだな~。さっきは気付かなかった。てかいつもより大人っぽい。


そっちもいいジャン♪」


キモ金髪は新垣 エリナに興味津々。


「マドンナ?知り合い?」とキョウスケがキモ金髪に聞くと、


「いや…知り合いってことも…可愛くて目立つし学校じゃ結構有名なんスよ。俺のツレも数人狙ってる…」とキモ金髪がキョウスケに説明しながらも


隣からリコの白い視線に慌てて目を逸らす。


男ってヤツぁ!


「おらよっ!アイスカフェオレだ!!」あたしはキモ金髪の前にドンとアイスカフェオレを置いた。


「新垣さんがマドンナだったら、お嬢はベラドンナですね」


とキョウスケがマイペースにぼそり…


「ベラ…ってかその何とかって何だよ」思わず目をきょときょとさせると、


くくっ


変態タイガが口元を押さえて吹きだした。


※ベラドンナはナス科の草です。非常に毒性が強い草です♪


タイガの反応からするとどうせ変なことに違いねぇ。


「ベラドンナはイタリア語で“美しい女性”って意味があるんだよ。うさぎちゃん♪


大丈夫、うさぎちゃんもキュートだよ☆食べちゃいたいぐらいに。


たとえおなかを壊しても」


タイガがまたもウィンクしてきて、あたしの背中にぞっと何かが走った。


てかおなか壊すって…やっぱ変な意味なんじゃん。


「朔羅を変な目で見ないでください!」リコが怒って立ち上がり、グラスを持っていた新垣 エリナがその勢いにびっくりしたのかふら付いた。


「きゃっ」


可愛い声をあげて体が傾き、


「危なっ!」あたしが支えるより早く





「大丈夫かよ」





いつの間に来たのか、


戒が新垣 エリナの腕を握り―――力強く支えた。