「―――…なぁこの時期でも溶けない氷ってあるのかな…」
「…氷?さぁ北極でも行きゃあるかもな」
戒が不思議そうに顔を傾けてまばたき。
「何でそんなこと聞くんだよ」
「……さっきの子、きっと氷の中に閉じ込められてるんだ。まだ水が凍る前に水の中に落とされて…」
そこまで言って言葉を飲み込んだ。
戒は何て答えていいのか分からないようにちょっと頭を搔くと、
それでも軽く流すことはせず、真面目に考えてくれた。
「あと考えられるのは…冷凍庫とか、かな。
ああ、でもありゃ水の中じゃねぇか。
ってか水の中って言ってもなぁいっぱいあるしな。
海だろ?湖、池、プール…」
「………うん。しかもあたしの夢だしな……たぶんそんなことないよ…」
「まぁお盆も近づいてるしな。気にするなよ」
きゅっと戒の手があたしの手を握る。
戒に手を握られて、すぐ近くにあるあったかい気配に安心して
今度こそ
あたしは夢も見ずぐっすりと眠った。



