バタバタっ
何も考えず、ただ恐怖だけに突き動かされてあたしは廊下を駆けた。
迷わず戒の部屋の襖を開けると、明かりをつけた部屋、
敷いた布団の上に寝転がりながら本を読んでいた戒が何事か驚いたように起き上がった。
「…朔羅?どうした…」
最後まで聞き終わらないうちに、あたしは戒の元に走っていってぎゅっと戒の胸元に抱きつくと、
何も言わずに戒のパジャマをきつく握った。
寒くなんてないのに、震えが止まらない。
あの人形みたいな可愛い女の子。
色が白かったのは、単に色白じゃなく
―――死んでたからだ。
あの子はあそこに閉じ込められたまま、まだ見つかってない―――…?
助けてあげなきゃ、と言うよりもあたしはその事実が怖くて…
怖くて、怖くて―――…
大声を上げて泣いた。
かっこ悪いなんて言ってられない。本当に怖かったんだ。
戒は最初戸惑ったように一人おろおろしていたけど、事情を説明できずにただしゃくりあげているあたしを、
やがて優しく包み込んでくれた。
その腕があったかくて、優しくて―――安心できたのか、涙はしばらく止まることがなかった。
――――
―
それから数分後、戒の腕の中で泣きじゃくっていたあたしが何とか落ち着くと、
戒に怖い夢を見たことを話した。内容も。
バカにされるかと思ったケド、
「大丈夫や。俺がいるさかい、安心しい?」
と思いのほか優しい声音で心配そうに頭を撫でてくれる。
あたしはこくこく頷いたけど、
「温かいもん飲めばもう少し落ち着くかもな」と言ってあたしを台所に引っ張っていった。
戒は慣れなくてぎこちない手つきでホットココアを作ってくれて、そのカップに口をつけると
またも安心して目頭が熱くなった。
戒が作ってくれたホットココアは若干砂糖が多めで少し甘過ぎだったけど、
でも
凄くおいしかった。



