這わせる―――…触れる―――…と言うより、何かを確認するかのようにぽんぽんと軽く叩くような仕草に
ボディーチェックをされてるのだと気付いたのは、響輔がその動作を止めたときだった。
「あんたが武器を隠し持つとは今更思わへんけどな、念のためや」
あたしの体をチェックして何もないと判断したのか、響輔は部屋の明かりを灯してついでにエアコンのスイッチを入れた。
「どこかで見張られてるかもしれへんしな」と言ってカーテンが閉じられた窓を目配せする。
ああ…そゆうこと…
何よ。あたしのこの色気のある衣装でちょっとクラってきたのかと思ったのに。
その気になったかと思ったのに。
でも、まぁ…今はいいわ。
「そのうち必ず落としてやるんだからね!あたしに溺れさせてやる!」
宣戦布告(?)みたいにビシっと指差してやるも響輔はそれを無視。またもマイペースにレポート用紙に向かってる。
それでもちょっと気になるのか、視線はレポート用紙に向けたまま
「さっき言うてた…俺の親父がどないしたん?」と鋭い声で聞いてきた。
あたしは響輔のすぐ近くに座ると、内緒話をするように響輔の耳元に顔を近づけた。
別に、本気で内緒話がしたかったわけじゃない。響輔に少しでも近づきたかっただけ。
耳の横の髪を掻き揚げて口を寄せると、響輔はくすぐったそうに身をよじり、視線だけをこちらへ動かせた。
「あんたのパパ。玄蛇が探ってるわよ」
あたしの囁き声を聞いて響輔は一瞬だけ目を開いたものの、ある程度予想はついていたのかその後のリアクションは特に何もなかった。
「親父のこと探りに来たん?悪いけど俺かて連絡とってないんや」
無表情に言われて、あたしはちょっとム。
確かに玄蛇に探るように言われたけど、それはあくまで協力してるフリだし。
「あたしはね、忠告してあげたの。
あんたのパパ…それと虎間 戒のパパは狙われてる。危険よって」



