◆ かごめ神社!? ◆
その日あたしと戒は午後からバイトが入っていた。
だけどまたも時間がずれてる。
あたしは戒の一時間後に入ることになっていて、先にバイトに向かう戒を見送り、
あたしとリコは千里のお見舞いに来ていた。
二人部屋の病室の窓側に千里がギプス固定されて横になってた。同室の隣のベッドは空で今は患者が入院していないようだ。
暇を持て余してるのか、千里は横になって分厚いマンガをつまらなさそうに読んでいる。
「よ。千里~具合どうだ~??」
あたしとリコが入っていくと、千里はぱっと顔を明るくさせた。
「来てくれたんか~サンキュな」
今はリコもいるからだろうか。それとも怪我をしたショックから昨日あたしに言ったことを忘れたのだろうか、
千里はいつも通りニカッと白い歯を見せて笑う。
「今は痛み止めの薬が効いてるから大丈夫だけどさー、病院て暇なのなんの。
あと三日で退院して、その後は自宅療養だってさ」
千里はげんなりしたように唸って額に手を当てた。
昨日キョウスケが言ってた。
『アキレス腱の手術だったら二、三日で退院できますよ。お見舞いに行くなら早いうちがいいかもしれませんね』
って。
さすが現役医大生さまだ。
それから戒も
『外科の手術だったら食べられるもん制約されてないし、あいつの好きなもん持っていってやったら?』と
こっちは何か色んな意味で慣れてそうな発言。
『兄ちゃんたちに兄弟喧嘩のとき骨折られて何度入院したか!』
相変わらず虎間一家は激しいようで…
戒のアドバイスを聞いてあたしはリコと二人でお見舞いに選んだ駅前のケーキ屋さんのクッキーを手渡した。
千里も甘党だから。
「お♪うまっそ~じゃん」案の定喜んでくれて、
「あ、そうそう。これバイト入っててお見舞いにこれない戒からの差し入れ」
あたしは戒から預かった紙袋を千里に手渡した。