理科室は当然ながらしん、と静まり返っていた。


てか、あれ??理科室ってこんなだっけ。


なんか狭いし、所狭しと並んだラックにごちゃごちゃと実験用具とか標本とか模型とかが並べられている。


人体模型とか骨格標本とか…


白へびの疑い(?)があるドクターが手を叩いて喜びそうな部屋。



う゛…


昼見ても薄気味悪いってのに、夜はさらに拍車が掛かってんな。


「早くスタンプ押して次のポイントに行こうぜ」


あたしが千里の腕を引くと、千里はあたしの手を握ってきた。


開け放たれたカーテンから夜の月明かりが侵入して、千里のいつになく真剣な顔を映し出す。


千里は口を真一文字に引き結んで、あたしをじっと見据えてきた。


「…ど、どうしたの…?」


思わず手を引っ込めようとしたけれど、千里の手がぐいとあたしの手を引いて、あたしは




千里に抱き寄せられた。




へ―――……



びっくりしてその場で固まったまま、千里の腕の中で身じろぎをすると


あたしの頭を千里はさらに強く抱き寄せてきた。






「俺が守るよ。



俺がお前の“白へび”になれないかな―――」






ふいに雪斗の顔が脳裏に過ぎった。


透き通るような肌、黒い瞳。




美しき龍―――



だけど






同じだけ残酷な―――