「「共同経営者―――?」」
二人が声をそろえてあたしを注目してきて、あたしはその突き刺さるような視線に居心地の悪さを感じた。
「う、うん…でも、なんか胡散臭いって言うか…こう言っちゃなんだけど、彩芽さんが咄嗟に嘘ついて、
その嘘にタチバナが乗ったって感じがした…
き、気のせいかもしれないけど!」
勘違いだったらかなり失礼な話だし、そもそも彩芽さんが嘘つく理由が分からない。
「あ、そーいやタチバナ……千里も見たことあるかも…って言ってたな…」
あのときのことを思い出してあたしはう゛~んと首を捻った。
「一ノ瀬も?」
「有名人ですかね。一結と同じテレビ関係者かも」
「あ~まぁな~俳優かモデルって言っても通じそうなルックスだったしなぁ」
アハハと笑うと、
「何、朔羅は俺と言う男がいながら他の男に目移りか?」
戒がずいっと真剣な顔で迫ってきて、あたしは逃げ腰。
「違うって!目立つ容姿してたからそー言っただけで」
「お嬢のタイプは年上で大人の男ですからね。戒さんなんてまだガキですよ」
ふふん、と笑って…ってか実際には笑い声をあげたわけじゃないけど、口元を吊り上げてキョウスケがニヤリとすると、
あたしの両腕をそっと後ろから抱きしめてきた。
「お前!自分が年上で大人の男だって言いたいんかよ!俺だって朔羅より(いっこだけ)年上だっ!!」
「戒さんは童顔の可愛い系じゃないですか。お嬢はワイルドな人がお好みなんです!」
「おめぇだってワイルドじゃねぇだろ!この、似非爽やか!!」
ギャァギャァ!!
またも喧嘩かよ。
相変わらず低レベルな言い合いだな。



