ぶつぶつ考えながらタコと絹さや、たまねぎをフライパンで炒めていると、
隣でキョウスケがフライパンの上で何かを作っている。
何かって言うのは、ホットケーキに違いないんだけど、
「何これ、うさぎ!♪可愛い☆」
キョウスケは耳がぴょんと伸びているうさぎの形を作っていて、
「お嬢は好きでしょう?」と微笑んだ。
「うん、好き♪可愛い☆…でも、これどーやってひっくり返すの?」
「「「………」」」
あたしたち三人は無言で顔を見合わせて、やがて
「お嬢、お願いします」
フライ返しを恭しく献上されたあたし。
あ、やっぱひっくり返すのはあたし??
でも
「ギャー!耳がちぎれた!!」
「あーあ、せっかく可愛くできたのにな~」と戒。
「腹に入れば一緒です」とキョウスケ。
慰めになってないんですけど。
あぁ…うさぎの形がぁ↓↓と嘆いていると、
『うさぎちゃ~ん♪♪』
ふっとタイガの姿を思い出した。
縁起わりぃな、うさぎの耳がちぎれるとか!
あたしはフライ返しを握ったままむ゛~と顔をしかめた。
白へび…かぁ。
「あたしはちょっとだけ“白へび”はタイガな気がしたんだけどな―――」
でも病院で襲ってきた男と同じタトゥーがあったってことは、その可能性を否定してるもんな。



