「とにかく、情報をハッキングした響輔をやっぱりイチのやつは恨んでて、響輔にハジキ向けたんだよ。
それは恐らくスネークから借りたもんやな」
「ってか!いつの間にそんなことになってたんだよ!!ってかお前よく無事だったな!!」
あたしはキョウスケに勢い込むと、キョウスケは苦笑い。
「……ま、まぁ。一結がお嬢みたいじゃなくて良かったですよ。だから生きて帰ってこられたわけで」
は?
それはあたし相手だったら死んでたって言いたいんかよ!
「どうゆう意味でぃ」
思わずキョウスケを睨むと、
「戒さん!」とキョウスケは小声で戒に抗議。ってか助けを求めてる。
「まぁまぁ朔羅~、こいつにもこいつの事情てもんがあるんだよ。それより響輔に向けたハジキだけどな。
シリアルナンバーからそのハジキの様式なんかが分かったぜ?」
戒の言葉に今度はあたしとキョウスケがおふざけ(?)から一転、真剣な表情で戒を注目した。
「ハジキはオートマチックのS&W(スミスアンドウェッソン)のシグマシリーズ。
この手の拳銃は割と多く出回っていて、製造国はアメリカだが、
厄介なことに日本でも闇で売買されてる。武器は高く取り引きされるからな。
ちなみに琢磨さんや鴇田が所持しているもんと同じタイプのものや。
デカ(刑事)も使ってるぐらいやしな。もっともポピュラーと言うてもいいぐらい。
闇で流してるヤツらもバカやない。いくつものルートを経由して、出先が割り出せないようにしてある。
結局元を辿ることはできへんかった」
戒はため息を吐いて、首の後ろに手をやる。
「や…そこまで調べられるのはやっぱお前ぐれぇだよ」
戒は簡単に言ったけど、その手の知識がないとできないことだし、こいつなりに調べるルートがあるってのはバカなあたしでも分かる。
「まぁ相手はプロですからね」
「まぁなぁ。やっぱ正体バレるような痕跡は残されてねぇよな。
でも人間なんて完璧じゃねぇ。どこか穴がある筈なんだ―――」
戒は口元に手をあて、またも考え込んだ。



