ジュッ
すぐ隣で何かが焼ける音が聞こえて、ゆっくりと振り返るとキョウスケがフライパンに入れたタネをおたまでのばしていた。
その仕草は丁寧だ。
「スネークが俺たちを狙うのは、どうやら龍崎グループが主催のパーティーだそうです。
そのとき全員揃う―――
スネークと一結、両者にどんな取り引きがあるのか知りませんけれど、それまでは一結の命だけは保障されている。
だけど同時にそれまで、俺は下手に一結に接触でけへん。
迂闊に近づいたら、今度は一結が―――」
キョウスケはさっきの無表情から一転、切れ長の瞳を一層険しくさせて前を睨んでいた。
キョウスケがぐっとおたまの柄を強く握って、そこからギリギリと小さな音が聞こえてくる。
キョウスケ……
「でも、俺が近づかん思うてもあっちが俺の周りをうろちょろ……
どうすればええんか…」
キョウスケはすぐにがくりとうな垂れて、顔を伏せる。
キョウスケ……イチのストーカーに遭ってるっていってたしな。
リコのこともあるから複雑だけど、ちょっと同情するぜ。
「スネークの狙い通りなんか…正直イチが響輔の周りをうろちょろすることまで計算できてたとは思えへんけど、
それでもどんな状況でもうまく回避して、しかも逆手にとってくるヤツや。
今度はイチの気持ちを利用して、響輔から崩していくことを狙ってるんやろ。
厄介な相手やで、ほんま
でも、あいつの思い通りにはさせへんで」
戒も大きな目を険しく吊り上げて宙を睨む。
淡い琥珀色の瞳の中に、金色の線―――
それは
獰猛な毒蛇にも果敢に挑んでいく
虎の眼。



