「女を武器にしてのし上がってきたってのに、あたしの色仕掛けがあいつには通用しないの。


押してもだめだし、引いてもダメ。




あんな男―――はじめて」





イチはどこか遠くを見ながらため息を吐いて、脚を組み替えた。


俺は響輔から昨夜のことを全部とは言わずとも聞いてたから……


聞いてたから…


短いデニムのスカートから、すらり長くて白い脚が伸びている。白い太ももが脚を組むと、もう少しで見えそうっ!!ってな感じで、


思わずよだれが出そうだぜ。朔羅もこんなん履いてくれねぇかな……


バイトの野郎たちが騒ぐほど美人だし、抜群にスタイルがいい。


俺も嫁さん(予定)が居なかったら間違いなく……


『ごちになります!♪』だな。


ってか響輔っっ!!お前、こんなん前によく一晩耐えたな!!


お前のこと尊敬するぜ!!


そんな色気を漂わせているイチから慌てて目を逸らすと、


「まぁ、なぁ……あいつは女よりマシンの方に夢中やし。ってか聞きたいことって何や。響輔のことか?」


と当たり障りのな~い返事をかえしておいた。


「あたしがあんたに聞きたいことって言えばそれだけでしょ。ねぇ。響輔ってどうゆう女が好みなの?」


俺が顔を逸らしたのを気にした様子もなく、今度はイチが身を乗り出してきた。


朔羅とは違った爽やかな香りが香ってくる。それは今朝響輔が髪から漂わせていた香りと同じものだった。


な、生々しい…


ホントに何もなかったんだよな。と若干疑いつつ、今度は俺が体を後退させる番。


「どうゆう女って……まぁ昔から清楚なお嬢様系が好きそう…かな??」


下手なことを答えると、あとから何かあった場合俺が響輔から責められる。


だからまたも俺は苦笑いで当たり障りのな~い、返答をかえした。





「てかそれを聞くために、わざわざ朔羅を拉致ったのかよ」




イチの色気に一瞬だけたじろいだが、気を取り直して俺がイチを睨むと、





「あたしの方はね。あいつはどうだか知らないけど。でも今のところ殺す気はないみたいよ?


あの子のこと結構気に入ってるから」




どこまで本気かどうか分からないけれど―――今は信じるしかない。




ってかこの様子からすると




イチは―――





響輔にマジで惚れてるんだな