「もう一人で大丈夫よ。子供じゃあるまいし、一人で居られるわ」
強がりを言って、響輔のケータイを無理やり閉じた。
「何や、さっきは子供みたいに泣きじゃくっとったくせに」
「目の錯覚よ。あたしがあんたに涙を見せるわけないじゃない」
心配して駆けつけてくれた人に対して、随分な物言いだと思う。
だけどこうゆう場合何て言っていいのか分からなかった。
傍に居て
朔羅のところなんて帰らないで
そう言いたかったのに。
「早く帰ったら?愛しの朔羅が待ってるんじゃないの?」
気持ちとは正反対な言葉が口を付く。
さすがの響輔もこの態度に怒り出すかと思いきや、
「別に待ってくれてるわけやないよ。心配はするやろうけど」
響輔は少しだけ笑顔を浮かべ、でもその笑顔はぎこちなく曇っていた。
あたし……
あたしは―――
響輔にこんな顔させたかったわけじゃない。
そんな風に悲しそうに……無理やり―――
笑わないで



