結局、またもドクターのわけ分からんペースに巻き込まれて彩芽さんのことを聞くこともできず、あいつは立ち去って行った。
ったく!ここはどーして極道の客ばかり来るんだよ!
龍崎 琢磨といい、鴇田といい、変態ドクターといい!!しかも全員野郎じゃねぇか!!お呼びじゃねぇっつの!!
もっとこうキリさんとか、彩芽さんとか…女はこねぇのかよ!
俺は女が大好きなんだよ!(←堂々と言うことでもない)
イライラしながら厨房に戻ると、
十分後にまたも、
「お、おい!龍崎っ!!客だっ!」
とまたもカウンターから声が掛かった。
だけど今回は何故か店員が驚いたような焦ったような態度。
今度は誰だよ!
半ギレになって顔を出そうとすると、
「すっげぇ美人だぜ!どっかのモデル!?」
と呼びに来た店員は興奮してる。
美人―――…モデル……?
俺は慌ててカウンターに向かうと、
女は女だけど―――……
長いハチミツ色の髪、白いノースリーブのシャツに短いデニムのスカート姿の
―――…イチが、にこにこ手を振っていた。
「昨日はどーも♪」
外したサングラスを手にイチはにっこり笑うと、またも軽く手を振る。
「………何で…」
何でこの女が―――……?



