「お前、いつもと違うシャンプー。なんかええ香りやな」
俺が響輔の耳元で低く笑うと、
響輔が目を開いた気配が分かった。
「……それが何か…」
「イチと一緒に風呂入ったん?」
「んなわけないやろ」
「ふーん。でも朔羅はどう思うかな?あいつ、昨日すっげぇ心配してたんだぜ?
響輔と連絡が取れない、って慌ててた。
お前が心配で、あいつ寝れなかったみてぇだし」
今朝は普通にしてたけど、目の下に僅かにクマをつくっていた。
顔色も悪かったし。
そのことを伝えると、
響輔は目を開いたまま、じっと畳を凝視していたが、
「でも今朝お前の無事が分かったら、元気になったよ」
と報告すると、
響輔は突如起き上がり、
ゴンっ
俺の顔面に響輔の頭が直撃した。
「でっ!!何しやがるっ!!」
思わず鼻を押さえて、響輔を睨むと、
響輔は真剣な顔……ってか申し訳なさそうな顔をして胡坐をかき、膝の上に手を置くと頭を下げた。
「ご心配お掛けして申し訳ございませんでした!ピクニック、行かさせてもらいます」
「やった♪」
作戦勝ちだな。と言うか半分脅し…??
ま、どっちでもいいや。朔羅が心配してたのっては事実だし。これでメンバーが揃った、と。
うきうきして「どこ行こかな~?」と考えていると、響輔がじっと俺を見つめていた。
「何だよ」
「いえ、戒さんの方も顔色悪いなって思いまして。もしかして寝れなかった?」
まぁ響輔が心配だったてのもあるけど、大半の理由は龍崎 琢磨だ!
「あー、これな?龍崎 琢磨の差し入れの賞味期限切れのプリンにやられた。お陰ですっかりトイレと仲良しだぜ」
忌々しそうに宙を睨むと、
「差し入れ?」と響輔が目をぱちぱち。
「朔羅に昨日の喧嘩の詫びいれてった。
ちっ。あいつ朔羅を餌付けしやがって。
お前の分もあるぞ?そっちはたぶん大丈夫だと思う」
「いえ、俺は食うのやめときます。タクさんにでもあげてください」
呆れたように吐息を吐き、今度こそ…と言った感じで響輔がごろりと横になった。



