。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。




「起きろ!響輔っ!話はまだ終わってねぇ」


再び背中を叩くと、響輔がびくっと肩を揺らして顔を上げた。


「何なんですか、話す事は話しましたよ」


俺は響輔の上に乗ったまま、響輔の腰に手を回して


「ね、響ちゃん♪ピクニック行こうぜ~♪」


と甘えてみた。


響輔は俺のおねだり攻撃に弱い。何かを頼むときはこの技が一番♪


「……行ってらっしゃい」


しかし、おねだり攻撃をあっさりかわしやがった。


「朔羅と川上が行くからって俺とお前も一緒にって誘われたんだ。


女子って可愛いよな♪“ピクニック”とか発想が♪」


響輔は小さなため息を吐いてまたも顔を伏せる。


「俺はそんなこと言う戒さんの方が可愛いですよ。ガキみたいで」


「何やと~。なぁ行こうや、響ちゃ~ん」


朔羅が行くって言ったら食いついてくるかと思ったが、珍しくその技も通じない。


「三人で行ってこればええやないですか。両手に華ですよ」


「それはオイシイ状況だが、川上が気ぃ遣うだろ?」


「まぁ……それは、そうかも…考えておきますよ。俺、ほんまに眠いんで、寝かせてもろてええですか?」


呆れかえった様に…ってかちょっと機嫌悪そうに眉を吊り上げて響輔は目を閉じた。


む。不機嫌響輔め。


長い緊張状態でイチの色気攻撃のダメージと寝不足がダブルでキてると思える。


俺は響輔の腰にぎゅっと手を回して、肩に顔を乗せると、響輔の黒い髪から


ほのかにシャンプーの香りが香ってきた。


くんくんと、鼻をひくつかせて響輔のうなじに顔を寄せると、


「何してはるんですか?新手の嫌がらせ?」


とまたも迷惑そうに響輔が顔を上げた。