顔色を青くさせながら腹を押さえていた戒は、あたしが電話してることに気付くと慌てて口を噤んだ。


「わり。電話中だった?」


「あ、うん。リコから」


まだ通話途中だった送話口を手で塞いで、戒を見上げた。


そだ。ちょーどいい。


「なぁ戒~、今リコと話してるんだけど~、あたしたちピクニック行こうってことになったんだ。


お前とキョウスケも一緒に来ない?」


ダメ元で誘ってみた。


「……ピクニック…?」


戒は一瞬眉を潜めて、


あ、やっぱこいつにそんな健全なデートを求めるあたしが間違ってたのか、と早くも諦めモード。


だけど


「何それ!超面白そうじゃん♪」


予想に反して戒が食いついてきた。


「行く行く~♪」とさっきまで腹痛で苦しんでいたと思えないほど元気だし。


と言うわけで、キョウスケも勝手にメンバーに入れてお出かけすることに決まった。




―――


「俺、ホントは朔羅をどこか外に連れ出そうとしてたんだ」


まだ薬の効き目が現れないのか、腹を押さえながら顔を青くさせながらも宿題のレポートにペンを走らせている戒。


「つ、連れ出そうと!?」


あたしは思わずぎゅっと自分の体を抱きしめた。


「ばぁか。違げぇよ。ま、そうなったらいいな~とは思うけど、お日様が照ってる時間帯に堂々と手を繋いでお外デートしたかったの」


と戒はあたしに軽くデコピンしてきた。