「玄関まで送る」


とあたしも立ち上がると、襖を開けて外に出ようとしていた叔父貴がちょっと振り返った。


すぐ近くに立ったすらりと身長の高い叔父貴は、あたしを見下ろすと優しい眼差しでそっとあたしの額に手を伸ばした。


一瞬ドキリと心臓が音を立て、あたしは反射的に一歩下がったけれど


叔父貴は気にしてない様子で、そっとあたしの前髪を梳いた。


「前髪、伸びたか?」


「………あ、うん。伸びたかも。そう言えば最近切ってないかも」


あたしの前髪は眉ぐらいのラインで切りそろえてあったのに、今は目にかかるぐらい伸びている。


「いいんじゃねぇの?大人っぽくて」


叔父貴はにっこり笑う。


ドキン


またも心臓が大きく跳ねて、あたしは心の動揺を悟られないよう無理やり苦笑い。


「あ、ありがと!」


叔父貴があたしを見る目は花火大会より以前と同じもので、やっぱりその視線に怖いとは思わなかった。


(色んな意味で怒らせたら怖いケド)


その視線から目を逸らそうとすると、叔父貴は出し抜けに、にこっと微笑んだ。


切れ長の目尻をほんの少し下げて、白い歯を見せながら。


さ、爽やかスマイル!?


その眩しいスマイルに思わず怯みそうになって、あたしもぎこちなく苦笑い。


叔父貴は笑顔を浮かべたままちょっと身を屈めると、





予告もなしに、あたしの額にちゅっとキスを落とした。