急に二人きりになって……
ってか二人きりだよ!!
どーしよ!!
急に余裕をなくしたあたしは、一人あたふた。
それでも叔父貴だけはいつも通りで、
「俺もそろそろ行く。人を待たせてるからな」と言って立ち上がった。
「人……って誰と…?」
思わず聞いちまってあたしは慌てて口を押さえた。
まぁ叔父貴はこう見えて時間に煩いお人だからな。相手はもちろん、自分が時間に遅れるのはもっとイヤみたい。
「仕事の関係者だ」
叔父貴は何でもないように笑って、その大きな手であたしの頭を撫で撫で。
「仕事って……龍崎グループの?」
思わず聞いちまって、
「ほかに何がある?」と叔父貴の方が不思議そうに聞いてきた。
戒は前、龍崎グループが巨大な裏金のプール先……金庫だと言った。
今更そんなことあれこれあたしが言うことないし、気にしたりもしない。
だけど何となく……気になる…
「そ、その顔で?」
あたしは叔父貴の口元を指差した。
「…ああ、大丈夫だ。今更こんなことで驚く相手でもないしな。古くから付き合いのあるやつだ」
古くから……
蛇田の野郎か?それだったら「鴇田と約束してる」って言うだろうしな。
まぁあたしが幾ら勘ぐったって、叔父貴の仕事のことなんてあたしなんか分からないし、
聞いても無駄だよな。



