でも最初から怒ってないし、ケーキうまそうだし。
あたしは最初から狙ってたイチゴのショートケーキ。戒はプリンを手に取って、それぞれ口に入れる。
「ちくしょう。うまいじゃねぇかよ」
と戒はブツブツ言いながらも大好きなプリンにご満悦だ。
叔父貴はその向かい側でふっと涼しく笑った。
いや、いっそニヤリって感じの不敵な笑み…
な、何…??
毒でも入ってんのか!?いや、叔父貴に限ってそんな陰険なこと…
「そのプリンは二週間前から俺の冷蔵庫で育てていたプリンだ。賞味期限が一週間過ぎてる」
「ぐっ!」
戒が吹き出しそうになって、慌てて口を押さえた。
陰険……!ってか、ガキみたいだ。
ある意味毒よりひでぇし。
死にはしないだろうけど、腹にはキそう。
「完食しちまったじゃねぇかよ!」
「賞味期限を確認しないお前が悪い」
「ってか朔羅がこれを選んでたらどーしてたんだよ!!」
「朔羅はショートケーキが一番好きだ。だからプリンは選ばん。それに俺の調査によるとお前の好物がプリンだったからな」
叔父貴……自信と悪意たっぷりだな。
ってかまだ怒ってる。…戒に。
「お前っ!今度賞味期限が切れたパフェを贈りつけてやるからなっ!バイト先のカフェであまった生クリームに特製のフルーツソースつきだ!」
戒も怒ってる…ケド、なんて低レベル……
昨日の今日だし、戒と叔父貴が顔を合わせたらもう一波乱あるかと思いきや、
……いや、波乱はあるっちゃあるな。
低レベル過ぎる第二ラウンドのゴングが
カーン…と聞こえた気がした。



