。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。




「戒に用がある。こいつの部屋に行くから俺のことは気にするな。朔羅、お前も来い」


有無を言わさない気迫に、あたしは疑問を口に出す暇もなく戒の部屋に連れて行かれた。


な、何を言われるんだろ……


と緊張していたが、


「昨日は悪かったな。これで機嫌直してくれないか?」


トン


と置かれたのはケーキが入ってるっぽい箱だった。


「え…え??」


訳も分からずとりあえず勧められるままケーキの箱を恐る恐る開ける。


中には色とりどりのケーキたちが入っている。


大好きなイチゴのショートケーキ、ガトーショコラ、チーズケーキやフルーツタルト。


いかにも高級そうなプリンのカップも入っている。


「お前たちに、だ。あとキョウスケの分も。あいつには迷惑をかけたからな」


叔父貴の言葉にあたしたちは顔を合わせて目をぱちぱち。


「……いや、別に怒ってないけど…」


元々原因あたしだし。


「なるほど。食いもんを出してさりげに謝るって寸法か…」


戒がケーキの箱を眺めて目を細めた。


『朔羅がケーキごときに吊られると思ってんのか!』


と怒鳴りそうな雰囲気だ。


だけど


「その手があったか…。やるな…」


くっと唇を噛んでる。





あたしゃ単細胞か!


ってかこれが戒の言う『スマートな謝り方』かよ!!